長崎国際大学 薬学部 薬学科環境毒性学研究室

研究内容

セカンドハンドスモーク・サードハンドスモークの臭い成分に関する研究

 環境中タバコ煙(ETS)はガス状及び粒子状物質から構成され、ヒトの嗅覚に対して複合臭として作用します。またガス状物質はタバコ煙の付着物から放散していわゆるThird hand smoke(THS)を引き起こす可能性が示唆されています。そこで、タバコ煙のにおいの測定を行い官能的に一致するにおい成分を把握し、においとETS曝露量との関連性を検証しています。また、THSの成分分析・経時的観察などを行うと同時に、最近普及している電子タバコについても検討を行っています。本研究は、横浜国大、成蹊大学、静岡県立大学、東海大、産業医科大学と共同で行っている特定研究です。

アロマ精油の成分分析と抗菌試験

 アロマ精油の成分分析や抗菌試験を行っています。特に長崎県内で栽培されている月桃という植物や、波佐見町で栽培されているバラから各々水蒸気抽出を行い、得られたアロマ精油やフローラルウォーターのガスクロマトグラフィー分析(GC)や抗菌性能を調べています。これまでの実験により、栽培時期による成分の違いが分かりつつあります。

研究室で栽培中の月桃

研究室で栽培中の月桃

濃縮月桃エキスの抗菌試験結果

濃縮月桃エキスの抗菌試験結果

シェーグレン症候群におけるTLR3の役割

 シェーグレン症候群は、ドライアイやドライマウスを主症状とする自己免疫疾患です。その発症と二本鎖RNAを認識するTLR3受容体の活性化との関連について、唾液腺培養細胞やモデルマウスを用いて解析しています。

異所性嗅覚受容体機能の解析

 匂い物質を認識する嗅覚受容体は嗅覚神経細胞以外にも存在しています。そこで、嗅覚受容体の匂い知覚以外の機能の解析を目的として、ヒト気道上皮細胞に発現する嗅覚受容体とそのリガンドを用いて、生理作用を検討しています。

新規土壌微生物を用いた消臭作用および非接触作用のメカニズム解明
(T.Mエンタープライズ社との共同研究)

 長崎県の土壌から単離された新規のバチルス菌は非接触状態での真菌に対する抑制およびアンモニア・トリメチルアミンといった物質に対する消臭効果があることが明らかになっています。この微生物の機能のメカニズムを解明し室内環境や予防薬学に役立てることを目的に研究を行っています。

TM菌株の非接触作用の結果TM菌株の非接触作用の結果

光触媒を利用した脱臭に関する研究(㈱イナヅマ電気工事との共同研究)

 光触媒材料はほとんどの有機物を効率良く分解除去できることが知られており、最近では大気浄化や水質浄化等に広く応用されています。LED照明器具の面状拡散板(光触媒フィルム)に担持した酸化チタンが開発され、この開発品の居住空間における消臭・除菌効果についての評価を実施しています。

災害用消臭剤および新幹線トイレ汚物タンク用抗菌防臭剤の開発と評価
(㈱ワールドバイオとの共同研究)

 災害時を想定した新規の災害用消臭剤および安全性が高く環境に負荷が掛からない新幹線トイレ汚物タンク用の新規抗菌防臭剤の開発・評価を行っています。

メダカを利用した水道水中の有害物質の検討

 韓国では水道水を未処理で飲料水とする利用率は3%と日本における利用率30数%に比べると10分の1以下です。そこで、飲料水利用率向上の一環として、飲料水の安全性について共同で検討を行っています。現在は調査段階ですが、相互に訪問の交流を実施しています。

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